医療脱毛の広告や脱毛クリニックのホームページを見ると医療レーザーには「熱破壊式」「蓄熱式」という２種類の脱毛機器があるのを目にしたことはありませんか？

この記事では、熱破壊式と蓄熱式ではどちらがいいのか、それぞれのメリットやデメリットについてくわしく解説します。また、医療レーザーを受けるときの注意点や疑問にもお答えしますので、メンズ脱毛を検討している人はぜひ参考にしてください。

男性の医療脱毛は熱破壊式と蓄熱式のどちらがいいの？

熱破壊式、蓄熱式のどちらで施術をおこなっても「永久脱毛」は可能で、効果にも大きな違いは生じません。

「熱破壊式か、蓄熱式か」よりも重要なのは「波長」です。

波長によって効果的な毛根の深さや毛の太さ、毛の色が異なります。

熱破壊式の多くは一度に一つの波長のレーザーしか照射できない機種が多い半面、その波長の出力を強くすることが可能です。複数の波長のレーザーを同時照射ができる機種もありますが、出力の上限が低いことが多いです。

蓄熱式では機種により複数の波長のレーザーを同時照射することができるため、条件がそろえばいろいろな毛を同時に処理できます。

同じ人でも「ヒゲ」と「腕」では毛の濃さや毛根の深さが異なるため、脱毛したい毛の箇所や毛の状態、肌質により、どちらの方式のどの波長での施術が効果的かが異なります。

またお腹などの平らな面か、VIOなどの形状が複雑な部分かなどによっても適応が異なります。例えば、ヒゲには熱破壊式で長波長レーザー（YAGレーザー）、産毛もそこそこ太い毛も多いお腹などには蓄熱式で複数波長同時照射など、どのような方式、波長がベストなのかは、クリニックで毛の状態を見てもらい判断してもらいましょう。

熱破壊式脱毛と蓄熱式脱毛の違いとは

医療レーザーには、熱破壊式脱毛と蓄熱式脱毛の2種類があります。

熱破壊式脱毛は、毛を作る毛乳頭や毛母細胞を高出力のレーザーで破壊する方法です。もう一方の蓄熱式脱毛は、毛を作る指令を出すバルジ領域を破壊して毛の成長を抑制する方法です。

2つのレーザー脱毛の違いは、「毛乳頭の破壊」か「バルジ領域の破壊」どちらにアプローチするかという点です。

熱破壊式医療脱毛の特徴

熱破壊式医療脱毛は、高出力のレーザーを照射し、毛を作る毛乳頭を破壊して永久脱毛をおこないます。毛根組織が熱変性し、毛が早く抜けるのが特徴です。

ただし「永久脱毛」には毛根の破壊が必要なので、早く抜けたからと言って「永久脱毛」できたというわけではありません。

熱破壊式は、決まった波長のレーザーを高出力で照射できるため、一定の状態の毛に対しては効果的です。

例えば長波長（YAGレーザー）を高出力で照射することで、ヒゲやVIO、ワキなどの根深い毛に医療脱毛です。

熱破壊式医療脱毛のメリットは？

熱破壊式医療脱毛のメリットには「効果を実感しやすい」ことや「根深い毛をしっかり処理できる可能性が高い」ことが挙げられます。

熱破壊式医療脱毛は治療の結果を実感しやすいため、モチベーションが上がりやすいのもメリットでしょう。

効果を実感しやすい

熱破壊式医療脱毛は、高出力のレーザーを照射し、毛乳頭を破壊して毛の再生を抑制します。短時間での熱破壊は蒸発した毛乳頭組織が毛を押し出すことで、照射直後あるいは、1～2週間前後で毛が抜け落ちることが多いため、「毛が抜けた」ことを実感しやすいと言えます。

「毛が抜けた」からと言って「毛乳頭が破壊された」わけではないのですが、見かけは派手なためいかにも効いているような実感を感じやすいでしょう。

特にヒゲやVIO、ワキや濃い胸毛などの根深い毛に対し、長出力の長波長レーザー（YAGレーザー）を照射すると高い効果を発揮するため、短期間で効果を感じたい方にはこれしかないと言っても過言ではありません。

毛穴の目立ちにくい肌が目指せる

また、毛の成長が抑制され「毛穴が目立ちにくくなる」「自己処理の回数が減る」ことで、なめらかで凹凸のない肌が目指せます。

特にヒゲは、自己処理で肌荒れを起こす人も少なくないため、熱破壊式医療脱毛をおこなうと肌がきれいに見えやすいというメリットもあります。

根深い毛をしっかり処理できる可能性が高い

熱破壊式医療脱毛は、波長によって狙いをしっかり決められることで、周囲の組織への影響を少なくできるのがメリットです。

熱破壊式の代表的なレーザーには「YAGレーザー（長波長レーザー）」や「アレキサンドライト・レーザー（短波長レーザー）」があります。

YAGレーザーは根深い毛の毛乳頭にも届く長波長レーザーで、ヒゲやVIOなどには最適です。というよりも他の波長のレーザーでは効果が限定的です。

またメラニンに吸収されにくいため、褐色肌にも使用できるという特徴があります。

VIOの色素沈着をしている部位の根深い毛を処置できるのは高出力のYAGレーザーのみと言っても過言ではありません。

深くまで届くということは浅いところの毛も当然処置ができるということです。

アレキサンドライト・レーザーはメラニンに良く吸収される波長のレーザーです。

産毛のような細い毛でもしっかり効果が期待できます。

深いところまでは届かないので、ヒゲなどは苦手です。

アレキサンドライトレーザーとYAGレーザーの2種類の波長を切り替えて使用できる「ジェントル・マックス・プロ・プラス」という、熱破壊式脱毛機もあります。このような器械であればまずは根深い毛をYAGレーザーで、次に産毛をアレキサンドライト・レーザーで、と順に処置が可能であり、よりツルツルの状態を目指せます。

熱破壊式医療脱毛のデメリットは？

濃い毛に脱毛効果が高い熱破壊式医療脱毛ですが、デメリットについてもくわしく解説していきます。

熱破壊式医療脱毛には「痛みや違和感が生じる場合がある」ことや「完全な脱毛には複数の施術が必要になる」ことがあります。

熱破壊式医療脱毛のメリットだけでなく、デメリットも合わせて把握しておきましょう。

痛みや違和感がある

熱破壊式医療脱毛の痛みは「ゴムで弾かれたような感覚」と表現されることがあります。

熱破壊式は高出力のレーザーになるため、特に太い毛が密集するヒゲやVIO、ワキなどは、痛みを感じやすく、違和感が生じやすいのがデメリットです。

熱破壊式脱毛機器で照射されるレーザーの波長によっては、メラニンが濃い部分や色黒の肌には照射できないものもあります。

熱破壊式医療脱毛は、短時間で組織を熱破壊するため、痛みを伴いやすいということを念頭に置いておきましょう。

医療脱毛であれば、痛みを暖和させる「笑気麻酔」や「麻酔クリーム」を、患者の希望により使用することができます。

痛みは施術中のみに起こりますが、出力によっては軽いヤケドの状態になりますので、違和感が一週間程度続くこともあります。施術後の肌をゴシゴシ洗ったり刺激を与えたりしないようにしましょう。

完全な脱毛には熱破壊式の複数の施術が必要

毛乳頭を破壊する力を持つ熱破壊式医療脱毛をおこなっても、１回の施術で完全に脱毛することはできません。

毛には「成長初期→成長後期→退行期→休止期」という4つの毛周期（ヘアサイクル）があります。医療レーザーでは「成長期」の毛に効果が出ますが、成長期の毛は全体の10～15％程度です。

毛の太さが違うため、始めは太い毛に合わせた出力での処置しかできません。すべての毛を一度に処置できる出力だとヤケドしてしまうためです。このため１回の医療脱毛では5～15％しか処置できません。

特に根深い毛だと「生き残る毛」が多くなります。

このためある程度の効果を得るためには複数回の施術が必要になってきます。

これは熱破壊式医療脱毛に限らず、どの機種を使っても同じことがいえます。

１回の施術で１～２割程度脱毛できて満足な人は１回で終わってもいいですが、基本的に「永久脱毛」は複数回の施術が必要です。

太い毛の処置が終わり、満足できないようであればレーザーの波長や出力を変えてさらに処置を追加する必要があります。

蓄熱式医療脱毛の特徴

蓄熱式医療脱毛は、毛乳頭よりも浅い位置にあるバルジ領域を中心に破壊する方法です。

バルジ領域とは、毛乳頭へ毛を作る指令を出す毛包にある器官です。バルジ領域を破壊すれば、発毛への指令がストップされ永久脱毛ができるという仕組みです。

バルジ領域は毛乳頭よりも浅い位置にあり、低出力でのレーザーを複数回照射することで処置できるため痛みの少ない脱毛が可能。複数の波長を同時照射できる蓄熱式レーザーは、比較的薄く毛根が浅い毛から毛根が深い毛まで同時に効果を発揮します。

熱破壊式のように高出力のレーザーが必要とされないため、ダイオード・レーザーで作り出した複数の波長を同時照射する程度でも効果があります。

蓄熱式医療脱毛のメリットは？

蓄熱式医療脱毛のメリットは「照射時の痛みが比較的少ない」ことや「複数の波長を同時照射できる機種がある」ことが挙げられます。

痛みが感じにくい脱毛をしたい人や、よりツルツルの状態を望む方の場合は熱破壊式よりも少ない回数で終わる可能性があるのがメリットです。痛みに我慢できず熱破壊式レーザーでの医療脱毛を断念した経験のある人は、蓄熱式医療脱毛を視野に入れるといいでしょう。

照射時の痛みが比較的少ない

蓄熱式医療脱毛のメリットは、照射時の痛みが比較的少なく、低出力でも永久脱毛が可能なことです。

熱破壊式医療脱毛は、ゴムで弾かれるような痛みを感じる人が多いですが、蓄熱式医療脱毛は、じんわりと感じる熱さのような痛みです。痛みの質が違い、蓄熱式の方が痛みが少ないと感じる方が多いです。

施術を受ける人や肌質にもよりますが、施術後の赤みや違和感も生じにくく、肌の弱い人にもおすすめのレーザーです。

蓄熱式脱毛は痛みが比較的少ないと言われるレーザーですが、痛みに弱い人はさらに麻酔でカバーすることができるため、蓄熱式医療脱毛をおこなっているクリニックを選択肢に入れましょう。

複数の波長を同時照射できる機種が多い

医療レーザーは、メラニン色素にレーザーを反応させて脱毛をおこなう機器です。

レーザーは波長によって届く深さが異なります。

複数の波長のレーザーで同時に処置ができる機種では深い毛から産毛のような浅い毛までまとめて処置できるというメリットがあります。

蓄熱式医療脱毛のデメリットは？

蓄熱式医療脱毛のデメリットは「効果を実感しにくい」ことや「対応できない部位がある」ことなどが挙げられます。

効果を実感しにくい

蓄熱式医療脱毛は、バルジ領域にアプローチし発毛の指令をストップさせるため、直接毛乳頭を破壊する熱破壊式医療脱毛に比べるとやや時間がかかります。

熱破壊式脱毛は1～2週間で毛が抜け落ちるのに対し、蓄熱式脱毛は3週間～4週間以上かかることがあります。

同じ日に脱毛をしても、毛が抜け落ちるタイミングが異なるため途中の効果実感にばらつきが生じやすいのがデメリットです。

レーザー脱毛の目的は「毛が生えてこないようにする」ことであり、「その場で生えている毛を抜く」ことではありません。

脱毛箇所により、熱破壊式医療脱毛と蓄熱式医療脱毛を別々におこなっている人は、抜け落ちる期間が異なるため不安を感じるかもしれませんが、最終的な脱毛効果は同じです。

蓄熱式医療脱毛は、白髪にも効果があるといわれていたこともありましたが、近年の研究によりメラニンのない白髪には効果がないことがわかりました。

対応できない部位がある

蓄熱式医療脱毛は、顔や手の甲、足の甲、うなじなど、形状が複雑な部位の施術が出来ません。継続して器械を押しあてたまま動かすことが難しいためです。

このため蓄熱式で全身の施術を受ける場合でも部位によっては熱破壊式で処置を行います。

多くの蓄熱式脱毛機器には熱破壊式照射モードがあります。

熱破壊式脱毛で剃り残しがあるとどうなる？

剃り残しがある状態で熱破壊式脱毛をすると、皮膚表面に出ている毛に熱エネルギーが反応し、やけどや痛みのリスクが高まります。

また、毛乳頭まで届くはずのレーザーが剃り残した毛に反応することで、毛乳頭に届かず効果が落ちる場合もあります。

１回１回の貴重な施術の効果が落ちるだけでなく、やけどのリスクが高まるためきれいに剃っておくことが必要です。

体毛はなるべく前日にシェーバー等で剃っておき、ヒゲは当日シェーバー等できれいに剃っておくといいでしょう。

VIOなどの皮膚が弱い部位を当日剃毛すると、痛みが強くなり、出力を上げられないため注意が必要です。

背中やうなじなど自分で剃るのが難しい場所は、オプションで剃ってもらうことも可能なのでクリニックにご相談ください。

熱破壊式脱毛はいつ毛が抜けますか？

熱破壊式脱毛は施術後すぐには毛が抜けず、1～2週間で毛が抜けてきます。

1回の施術ですべての毛が抜け落ちるということはなく、医療レーザーは「成長期」の毛に反応します。

成長期の毛は全体の10～15％程度で、あとの80～90％は退行期や休止期にあたります。毛が抜け落ちる「退行期・休止期」を経て成長期になった毛に再び医療レーザーを照射すると、同じように1～2週間で毛が抜けて、徐々に毛量が減っていきます。

熱破壊式と蓄熱式どちらの方法が最適かは状況に合わせて

熱破壊式と蓄熱式は、どちらも「永久脱毛」の効果があります。毛質や肌質、どこの部位を脱毛するか、状況に応じ機種やレーザーの波長、出力を選択することが大切です。

どちらのレーザー脱毛もメリット、デメリットがあります。

• 熱破壊式は効果実感しやすく、根深い毛に効果的だが人によっては痛みが強い
• 蓄熱式は効果実感しにくいが、痛みが少ないという人が多く、複数のレーザー波長を同時照射できる機種であれば浅い毛も深い毛もまとめて処置できる

人によっては両方おこなうことで、効率のよい脱毛がおこなえる場合もあるため、迷う場合は、熱破壊式と蓄熱式を両方おこなっているクリニックを選ぶことをおすすめします。

また最新の機種では、どちらのデメリットもカバーした機種もあり、いくつかの機種を取り揃えているクリニックをチェックしてみてください。

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この記事は、メンズ医療脱毛ぼくらのクリニックの吉田 元 管理医師が監修しています。